飼い犬










ACT 14








「・・・・さて、真柴のガキの飼い犬さんよ。これが何か・・・知ってるか?」

臭い匂いのする床の上に、顔が歪むくらい押さえつけられている俺の顔を覗き込むように、田島が俺の前にしゃがみ込んでそう聞いた

「・・・?」

小さな小袋に入った、白い粉



・・・・・・これ、ひょっとして・・・?



背筋に戦慄が走った

俺を押さえ込んでる奴らのゾッとするような、ギラついた目つき
まるで獲物を見つけた獣みたいに異様に興奮してる

どう見ても普通じゃない雰囲気・・・


「真柴はな、こういうの、嫌いなんだとよ。いい金になるし、気持ちよくなれるのによ。だからさ、お前、教えてやってくれないか?真柴のトコのあのクソ生意気なガキに」


ニヤニヤ・・・と、田島が笑っている
どう考えても、ロクなこと考えてない、そんな笑い方で


「これ、お高いんだぜ?滅多に手に入らない極上のシャブだ。自分から出て来てくれたご褒美に、これ、タダでやるよ。アナルに直に塗ると効くぜ?腸は吸収が早いからな」

「っ!!!」


冗談じゃない!
そう思って必死にその場から抜け出そうとした・・・けど

骨が軋むほど強い力で押さえつけられた身体は、全然ビクともしない


「おいおい、見てみろよ。こいつ、ケツ振ってやがる。早く塗ってくれってよ!」


田島の嘲笑と供に一斉に湧き上がる下卑た歓声

頭の芯から沸き立つ、怒り

悔しくて、悔しくて
でも、どうする事も出来ない自分に、舌でも噛み切っていっそ死んでしまいたくなる

「おら、これでも噛ませとけ!気の強そうな飼い犬だからな」

そんな田島の声が聞こえたと思ったら、いきなりグイッと髪を掴まれて顔を上向けにされ、無理やり口一杯に消毒臭いおしぼりが押し込まれた

こっちの考えそうな事なんて、お見通しなんだろう・・・
おかげで舌を噛むことさえ叶わない

「後でこっちの口にも突っ込んでやるから、楽しみにしてな」


・・・だれがっ!!


息苦しさに耐えながら、視線だけは上向けて田島の顔を睨みつけた

「いいねぇ・・・そういう目の奴をどん底まで突き堕とすのが、俺の最高の楽しみなんだよ」

そう言った途端、田島がガッと俺の頭を靴底で踏みつけにする

「さあ、ショーの始まりだ。しっかりビデオもまわしておけよ!自分の飼い犬が他の男に犯られてよがってる様を、真柴のガキにも見せてやらなきゃなぁ!」


「っ!?」


一瞬、思考が停止した


・・・・・イマ、コイツ、ナンテイッタ?


最後の力を振り絞って踏みつけている田島の足を、押さえ込んでる無数の手を、撥ね退けようとしたけど

逆にそれはそいつらを刺激しただけのようで

高く掲げ上げられて冷たくなった尻を掴まれ、足を大きく割り開かされた

何か冷たい物が、掴まれて広げられたアナルに注がれた・・・と、思った途端

その濡れた感触と供に遠慮の欠片もなく、太い指先が体の中にねじ込まれていく

悔しいけど、毎晩のように真柴に慣らされたその場所は、潤滑剤か何かなんだろう・・滑りの良いヌルつきで何の苦もなく突っ込まれた指先を呑み込んでいく

「は・・っ!コイツ、クスリなんていらねーんじゃねーの?使い込まれてて良い具合だぜ!」

俺のアナルに指を突っ込んでいるらしき男の下卑た笑い声と供に、更に増えた指先が無理やりねじ込まれる


「ッッ!!!」


口の中に押し込められた物せいで、叫び声さえ上げられない

いくら慣らされてて潤滑剤の助けがあるといったって、一気に無理やり異物をねじ込まれたら、たまったもんじゃない

突き抜ける痛みに耐えかねて涙が滲む

普段真柴がどれだけ俺の事を気遣って抱いていたのか・・・今更ながらに思い知らされた

真柴に抱かれていて、一度だって苦痛を味わったことなんてなかった
気持ち良過ぎて・・・それを受け止め切れない苦しさはあったけど、こんな風にただの痛みを感じた事なんて、なかった

痛みには、慣れてる
今まで散々、いろんな奴に絡まれて、その度にいわれのない痛みに耐えてきた

だから

こんな苦痛も耐えられる

そう、思ってた



だけど



・・・・・・・・・あ・・・つっ!な・・に!?



ただの痛みしか感じていなかったはずの場所から、まるでそこから発熱でもしてるみたいに熱くなってくる

突き込まれた指先が抜き差しされる度に、その感覚がダイレクトに脳天にまで直に伝わって、その刺激の強さに何も考えられなくなる

心臓がドクドクと異常な速さで脈打ってきて、息苦しくてたまらない

強張っていたはずの全身から力が抜け、押さえつけられていたはずのたくさんの腕が、いつの間にか俺の身体を支えるように・・・腰に、足に、廻されていく

「・・・・効いてきたみたいだな。犯ってみたい奴!突っ込んでみな!女なんかよりずっと締まって病み付きになるぜ」

そんな声がきこえ、湧き上がる歓声と嘲笑がこだました・・・ような気がする


だけど


だんだんと、そんな声や騒音が・・・遠ざかっていく

頭の芯がボウッとして、全身が発熱してるみたいに熱くてたまらない

息苦しくてたまらなかった口の中に押し込まれていた物が引き抜かれて、ようやく与えられた存分な空気を吸い込んで・・・

それでも足らなくて発情した犬みたいに、口を開けたまま涎を垂らして空気を必死で取り入れた

いつの間にか四つん這いにされ、突き込まれていた指が引き抜かれて・・・その抜かれる刺激と喪失感に全身が震えて崩れ落ちそうになる

するとたくさんの腕が俺の身体を支え上げ、喪失感でヒクツくそこに熱い塊が押し込まれていった

「・・・あ・・・あ・・・ま・・しば・・っ」

貫かれて満たされていく快感が、今までと比べ物にならないくらい強い


今、自分がどこに居て、一体何をされてるのか
今、自分の中に押し込まれたモノがどういう意味合いのものなのか


そんなこと

どうでも良くなっていた

ただ

俺の目の前には、いつもの真柴の部屋が広がっていて
俺を後から犯しているのは真柴で

今まで感じた事のない快感に
今まで味わった事のない充足感に

早くいつものように体の中を満たして欲しくて

強すぎる刺激に喘ぎながら
勝手に口がその名前を呼んでいた


「あ・・あ・・・りょ・・・すけ・・!りょう・・すけ・・・っ」


ずっと、

ずっと、

ほんとは


その名前で呼びたかった


真柴の・・・名前


ただの飼い犬だから
下の名前で呼ぶなんて・・・出来なかった


なのに今は何も考えられなくて
勝手に口が欲望のままに、何度もその名前を呼ぶ


やがて体の中に放たれた・・・熱い体液
俺の中に満たされていく・・・涼介

引き抜かれて喪失感を味わう間もなく、次の熱い塊が押し込まれて、その充足感に身体が震えた

絶え間なく流れ続ける俺の中心にかけられた涼介の手が、何度も俺を扱き上げてイカせてくれる

涼介の名前を呼んでいた口の中にも、熱い涼介自身が突きこまれて、絶え間なく抜き差しされる

熱く充血して尖った胸元に這う涼介の濡れた舌先

たくさんの涼介で俺の中が前からも後からも満たされていく


ありえないほどの快楽
溢れるほどに涼介でいっぱいなる身体


何も考えられなくて


ただ


目の前に広がる幻影しか見えない


何度果てても、果てても
尽きることなくダラダラ・・と流れ出ていく体液

果てることなく俺の中を満たしていく涼介


それはまるで



いつ果てる事のない、夢のようで



例えようのない幸せと絶頂の中



俺は



ただ



涼介に、抱かれていた




トップ

モドル

ススム