『竜国物語』〜外伝〜
ポタポタ・・・と、
目の前に雨が降って来たかのような小さなシミが落ちてきた
「え・・・!?」
思わず顔を上げてみると、
そこに、涙を流すリアンの顔があって・・・私は一瞬固まった
どうして?
なぜ?
私が何か泣かせる様なことを言ったか?
否、
私はただ
「あなたが不要と思うまで
側に仕えさせていただくだけでいいです」
そう、言っただけ・・・
そう思って茫然としていたら、不意にリアンが言った
「・・・俺、お前が好きだ」
確かに聞いたことのある言葉なのに、
まるでその意味が理解できなかった
その言葉が、私に対して注がれた物なのだという事を認めるのに時間がかかった
そんな私の困惑など知らぬ気に、
リアンがその先の言葉を紡いでいた
「ずっと昔から」
「お前だけを見てた」
「ずっと、好きだった」
一言一言、その言葉の意味とその思いを自分自身で認識するかのように、リアンが、私に告げる
『ずっと、』
その言葉に、私の脳裏に幼い頃から常に側に居て供に過ごしてきた日々が、走馬灯のように駆け抜ける
そうだ・・・あの頃から、ずっと・・・!
どうにかしてその想いをあきらめようとした
認めてしまったら、歯止めなど利かないと分かっていた
だから
伸ばした腕の中にその身体を封じ込める事を、
私はもう、止める事が出来ない
思いの丈をぶつけるように抱きしめたリアンの身体が、
驚いたようにビクンッと跳ねた