<人物紹介>
   主人公:鳳 巽(おおとり たつみ)

古来より、日本を霊的に守護する役割をになってきた 陰陽師系屈指の名門・鳳家。
その鳳家・本家の直系にして次期鳳家当主。
・・が、母が北欧系の外国人で、5歳まで外国で育つ。
故に稀に見る美貌と灰青色の瞳、漆黒の黒髪を持つハーフの超美形。
その生粋でない異国の血が混じった事で、分家の鳳家の人間からあまり良い感情は持たれておらず・・かなりな確執がある。
それと言うのも、巽の父親・鳳 那月(おおとり なつき)が、巽の知らないところでいろいろと過去に問題を起こしていたせいでもある。

そして、その母親もまた北欧神話に出てくるオーディン神の指輪(持つ者の願いを叶えると同時に持ち主の命を奪う呪われた指輪)を受け継ぐ一族の末裔・・と言う曰くありげな人物で、巽は5歳で日本に帰国した日、両親を事故で失い指輪の所有者となる。(この事故もまた、指輪の呪いによる物・・?)

14歳で継承式を行うしきたりの鳳家で、その14歳の誕生日の日・・巽は御影 雅人の企みによって大きな心の傷を背負わされる。
そのため、本家の人間が受け継ぐはずの聖獣‘朱雀’をその心の奥底に封印する。
そして朱雀の力を封印したまま・・当主の座も祖母に任せたまま・・巽はその身に受け継いだ鳳・本家の人間の持つ特殊能力のみを駆使して依頼される・・裏の世界の妖し退治を請け負っていた。
そのうちの一つの事件で知り合った桜杜 みこと・・この少年との出会いから、巽の運命の輪が回り始める。

鳳家と御影家の互いに殺し合うよう呪縛された血の呪い。
そしてその呪いをかけた張本人・・柳なる人物とは・・?
みことと巽の出会いもまた定められた運命によって導かれた物なのか・・?

みことと出会った事件で負傷した巽の肩の傷・・そしてみことと共に請け負った初仕事で封印が解けた朱雀の力と、その時に明かされた‘青龍’の力の存在・・その力の発動と共に巽の中に現れたもう一つの人格‘柳’・・その出来事が巽とみことを思いもよらぬ事実へと導いて行く・・。



桜杜 みこと(さくらもり みこと)

先天性白子(通称:アルビノ)として生まれつき、その容貌はぬけるように白い肌・銀色の瞳・銀色の髪をしている。
その昔鬼の首を落としたと言われる神社の家系に生まれるが・・5歳の時に母親を落雷による事故で亡くす。
戸籍上父親の記載はなく、父親は誰か分からない・・と言う事になっていた。
・・が、実際は父はこの神社に在った千年桜の精霊で・・母・桜杜 千波(さくらもり ちなみ)とその桜の精霊との間に生まれた半精霊の人間であった。

早くに母をなくし、唯一の肉親である祖母と暮らしていたが、頼れる身よりもなく、進学もままらない状態であったため・・みことは新聞配達奨学生として中・高一環の寮付の学校で寮生活を送る。
その容貌と朝刊・夕刊配達などのせいで友人もほとんど作れず、孤独な学校生活を送っていた。
そして、もうすぐ高校卒業・・と言う時期に起こった鬼騒動・・。
その鬼封じのためにやって来た巽と出会い、みことは自分の生い立ちとその容貌をなんの偏見もなくまっすぐに見つめ、受け入れてくれた巽に言い知れない思慕を感じて戸惑う。

鬼によって負傷した巽と共に鬼を封じるべく、その鬼と対峙したみことが襲われた時、巽の中に桜によって封印されていたみことの母、千波との不思議な出会いが甦る。
それによってみことの持つ能力を最大限に引き出す方法を思い出した巽の一言で、みことは亡き母から受け継いだ歌の呪力を解放し、母が従えていた聖獣‘白虎’をも従える運命を受け入れる。
そして鬼の魂を天上界へと導くために、巽は初めて指輪の力を借り・・みことの父である桜の精霊に仮初めの命を与えその桜の運命を果たさせる。
全てが終わり・・巽との別れの日、みことは巽と共にその仕事の手伝いをしないか・・と言われ、巽と一緒に暮らす事になる。

巽と共に暮らし始めて半月ほどたった頃・・みことに初仕事がもたらされる。
その依頼は夜に限って起こる怪現象の解決・・それは海蛇と呼ばれる太古の生物の化石によって引き起こされる海の出現・・であった。
その海の中に引き込まれ、海の水を飲んでしまったみことは木の性質を持つ半精霊という特殊体質のせいで、水を体の外に出す事が出来ず衰弱していく。
そのみことを救うため、巽はずっと封印してきた朱雀の力を解放する事を決意する。
封印する原因となった過去の世界に意識を飛ばし、巽自身が知らなかった御影 雅人が巽を殺そうとした本当の理由を知る。
そのことで朱雀と完全に同化した巽によって、みことは水を体の外に出す事が出来たのだが、依頼の事件解決のため・・みことが吐き出した水を巽が口移しで自分の体内に取り込んでしまう。
その事でみことは自分の中の巽への思いが「好き」と言う思いなんだと気づく。
そして巽も取り込んだ水のせいで、自分の中にある‘青龍’の力の存在に気づく。

海蛇との水の中での死闘の末、何とかその依頼を解決したみことたちであったが、その時巽の中にもう一人の人格‘柳’が現れていた。
柳によってその時の記憶を封じられた巽とみことは、言い知れない不安を感じたまま・・二人の間に口移しで水を飲んだことが・・理由はどうあれキスであったこと事の自覚が生まれる。
・・が、そんな事には超鈍感な巽の様子にあきれ果てた巽の祖母の企みにより、遂に巽もみことを特別に思っているのだと言うことを自覚し、それを伝え合う事も出来た。
けれど・・みことの思いを受け入れながらも自分から決して何も望もうとはしない巽に・・みことの不安は大きくなっていく・・。
そしてその巽の態度の理由が、更にみことの心に重くのしかかってくることになるのだった・・。



<サブキャラ>

鳳 美園(おおとり みその)

鳳家現当主。
鳳家本家のみが持つ特殊体質のせいで、実年齢90歳を超えているのだが、見た目は20代・・という超わがまま・お騒がせ性格な、おばあ様。

御崎 海人(みさき ひろと)

美園のお守り役兼ボディーガード。ほんとは太古の大昔から鳳家に仕えてきた妖魔‘虎鮫’(ここう)で、いつもサングラスをかけている。実は元が魚なので、その瞳は灰色で、瞬きをしない・・それを隠すため絶対人前では外さない見た目は30代のお兄さん。

御影 聖治(みかげ せいじ)

鳳家に昔から使える薬師の一族・御影家の当主。
今では世界中にそのネットワークを持つという・・医療関係のトップ的存在である御影一族。
その中でも突出した才能を発揮する超天才。
14歳ですでに医師免許を取得し(実際にはありえませんが・・お見過ごし下さい・・)巽に関する医療行為は全て聖治が担当する・・巽の専属主治医。
普段は観音像に眼鏡をかけたような温和な笑顔を絶やさない・・が、眼鏡を外すと性格が一変したかのように冷たい、凍りつくような視線を放つ得体の知れない一面を持つ。

実は鳳家と御影家の間には、鳳家の始祖『柳』によってかけられた血の呪縛による因縁があり、運命(さだめ)られた者同士・・互いに殺し合うという抗えぬ宿命を持っていた。
そして巽と聖治もまたその運命られたもの同士・・。
その運命から抗うため、巽は決して自分の中の鳳の血を認めようとはせず・・その事が逆に聖治を苦しめる。
5歳で日本に帰国した巽に出会った聖治は、その時から巽に惹かれていく自分の感情を隠し、常に巽の側に居て、巽に近づく者を影で排除してきていた。
その聖治が唯一排除したくて出来なかった存在・・父・御影 雅人(みかげ まさと)。
雅人を一番信頼し、惹かれていく巽に対し父の本心に薄々感づいていた聖治は巽に対し幾度も警告を発するが・・聞く耳を持たぬ巽・・。
そして聖治の懸念通り・・父・雅人によって殺されかけた巽は、逆に雅人を殺してしまう。

その事で心に大きな傷を負った巽は・・雅人と同じ面影を持つ聖治に、雅人の影を見るようになる。
それは聖治にとって耐え難い事であったが、巽を傷つけたくない・・という思いと、巽にとっての自分の存在が常に父の影の元でしかありえない・・というやり切れない思い・・そして突然現れた、みことという存在・・。
鳳と御影・・その間にかけられた血の呪縛・・その呪縛のままに父と同じく巽を殺すような事だけはしたくない聖治であったが、みことの存在がその血の中に封じられていたもう一人の人格を『柳』によって呼び覚まされる事に・・。
みことの出現によって廻り始めた運命の輪・・聖治もまた巽を守るべくその運命(さだめ)られた輪に抗おうとするのだった・・。

辻 綜馬(つじ そうま)

鳳家と同じく、古来より日本を霊的に守護する役割をになってきた集団・・高野山・金剛峰寺の元に集約される密教系僧侶の実力者。
その力は開祖空海に匹敵すると噂される・・時期大僧正候補ナンバー1の若き僧侶。
みことと巽が出会うきっかけとなった鬼騒動・・その事件を巽に依頼したのが綜馬であった。

そして、一番最初に巽とであった日に、みことの母とも出会っており、綜馬もまた巽を巡る運命の輪に係わり合いを持つ事に。
誰とも馴れ合わず、常に一人でいる巽に対し、関西人独特の屈託のない天真爛漫な明るさで巽を笑わそうといつもちょっかいをかけてくる・・巽にとっては迷惑この上ない人物。
・・・が、その真意はただ一度だけ見た巽の心の底からの笑顔・・・その笑顔を再び見たい・・・という、真摯な思いから来るものであった。
いつしかそれは、巽との間に揺るぎない友情を育てていく。

だがそれが御影 聖治の眼に留まらないわけは無く、綜馬に対して『巽にこれ以上近づくな・・!』と警告を発してきた聖治に対し、綜馬はそれを当然拒否。
以来、聖治と綜馬の間には互いの力を認め合いつつも反発しあう・・犬猿の仲となる。
なぜかいつも巽とみことに関しての事に係わり合いを持つ綜馬・・それもまた鳳の始祖『柳』と深い関係があったある人物に由来していた・・。
綜馬自身の知らないところで紡がれるその運命の輪に・・綜馬はどう立ち向かっていくのか・・綜馬もまたその運命に抗うべく戦っていく・・。

前鬼(ぜんき) 後鬼(こうき)

巽がいつも肌身離さずつけている銀製のロケット・・その中に納められている大振りな黄金色のリング(オーディンの指輪)に憑いている妖魔。
北欧神話で語られるオーディン神が従えていた2羽の大カラス・・フギンとムニンがもともとの正体。
神々の黄昏(ラグナロク)によって滅んだはずの神の力・・その力が封印されたのがこの指輪である。
その指輪をはめた者はその万能の神の力を駆使して願いを叶える事が出来るが、それに見合った代償を支払わねばならない。
それは最終的にその持ち主の命を奪っていく。
それ故、その指輪を封印出来る者のみに指輪は受け継がれ・・その一族の末裔が巽の母親であった・・。

通常、指輪の持ち主とは契約を交わすのが妖魔の鉄則であったが・・なぜか巽とはその契約を交わしていないようで、前鬼と後鬼は巽に友人か家族のような扱いを受ける。
そのせいか・・前鬼・後鬼ともに自分の意思で巽を守るようになっていった。

前鬼は冴え冴えとした青いサファイヤのような瞳を持ち、短気で直情型の実戦派・・であるが、反面料理好きだったり甘いもの好きだったり・・かなりな天邪鬼的性格の持ち主。
後鬼は深淵な森の様な緑色のエメラルド色の瞳を持ち、常に冷静で物静かな論理派・・人の記憶を読んだり物を覚えるのが得意・・時に前鬼に負けない気の強さを示すが、面倒見が良く人間という物に興味が強い好奇心旺盛タイプ。

その容貌は双子のようにそっくりで、元がカラスだけに真っ黒な髪に真っ黒な服・・瞳の色と醸し出す雰囲気で見分けがつく。
巽の肩に乗る時は双頭の大カラスの姿をとり、別々に大カラスの姿になる時もある。

<その他のキャラ>

鳳 那月(おおとり なつき)

巽の父親で、何処か陰のある人物。
本家の人間が受け継ぐ特殊能力の中で、なぜか未来を見る『夢見』の能力のみしか持たず、そのせいで鳳と御影にかけられた呪縛の真相を知り、その呪縛を解くための方法を模索するようになる。
運命づけられた相手・・御影 雅人とお互いに強く惹かれあいながらも、呪縛を解くために再開を誓い合って互いに別々の場所、別々の方法で運命に抗う。

・・・が、那月の選んだ方法は結果的に雅人を裏切る事となり、その誤解を解く間もなく事故によって肉体を失う・・。
だが呪縛によってその魂は雅人によってしか消滅できず・・巽の潜在意識の中に生き続けていた・・そのせいで巽は聖治よりも雅人を慕うようになり、雅人の中に巽に対する憎しみを生じさせる結果となってしまう・・。

御影 雅人(みかげ まさと)

聖治の父親で、世界的遺伝子工学の権威。
その医療に関する能力は聖治と双璧を成す、聖治にとっては父である以前にライバルといった方が良いような存在。
巽に関しても、徐々に膨れ上がる憎しみの感情を押し殺し、常に親身にその信頼と信用を集め・・自分の計画どおりに巽の思慕と好意を高めていく。
那月とは違った方法で呪縛を解く鍵を見つけた雅人であったが・・それは一枚のフロッピーディスクに収められ、自分の計画に気づき邪魔をする可能性の高い聖治を一定の時間足止めするために、それを聖治が見つけ、開くように画策する。

そしてその計画通りに雅人は巽の心に深い傷を背負わせて・・死んでいく・・。
父のやった事全てをそのディスクから知った聖治は・・その内容と共に、巽を傷つけて死んでいった父を激しく憎むようになる。
そのディスクの内容は・・雅人と聖治以外誰も知らない・・。

桜杜 千波(さくらもり ちなみ)

みことの母親で、聖獣‘白虎’を従え・・強力な慈愛の歌を歌う力のあった巫女。
千年桜の精霊との間に禁忌とされた人と桜の子を生んだ・・芯の強い優しい女性。
みことを生む前から子を生む事を知り、巽とみことが出会う事も知っていた不思議な能力を持つ人物。
禁忌を犯したものの末路を知りつつもそれを受け入れ、そしてみことを心から愛し・・みことに人を思う大事な気持ちを遺していった・・。