飼い犬
ＡＣＴ １１
「ふっ・・・・ああっ・・・！？」
さっき湯船の中で洗われて、引き抜かれた指に虚無感を感じていた・・・あの場所に、真柴の熱く猛ったモノが押し当てられ、先端がジワジワ・・・と侵入してくる
「・・・・ジュン、力、抜いて・・・？」
「や・・・っ、む・・・り・・・っ」
どう考えたって無理がある・・・その大きさと熱さに、血の気が引いた
「そっか・・・じゃ、」
不意にそう言った真柴が、俺の腕を取って半身を引っ張り上げる
「・・・舐めて？」
「あ・・・・？」
その真柴の望むモノが、指じゃなく、真柴の身体の中心で硬く立ち上がっているモノだって、容易に知れる
俺は言われるままに、ベッドの上で胡坐を組んで座っている真柴のモノに四つん這いになって顔を寄せた
片手でそれを支えるように触れて、その、思った以上の熱さと硬さに、一瞬、身体に震えが走る
チュ・・・と軽く唇で食むと、不意に手の中の真柴が、グ・・・ッと体積を増す
その反応が嬉しくて
もっと真柴の味を確めたくて
口の中へ、真柴を受け入れる
舌先を使って筋を辿り、真柴の反応をダイレクトに感じながら舐め上げていく
トロリ・・・と先端に滲んだ粘液を舐め取って、嚥下する
・・・・・全然嫌な味じゃない
俺の唾液と滲む粘液でヌルヌルになったそれを、ゆっくりと歯を立てないようにして柔らかい口内の粘膜で包み込み、上下に扱いていたら
「うっ・・・んっ！？」
四つん這いになって突き出していた俺の双丘に伸ばされた真柴の指が、ヌル・・・っと再び俺の身体の最奥に入り込んできた
さっき俺の身体が勝手に跳ねたポイントを、的確に探り当てられて、その不意討ちともいえる刺激に、思わず口に含んで扱いていたその動きが止まる
「・・・ジュン、口が留守になってる」
「・・・ん、や・・・けど・・・んっ・・・んんっ」
真柴に促されて、必死で口を動かそうとしたけど、後から与えられる刺激の気持ち良さに、そっちにばかり神経が集中して、歯を立てないようにするのが精一杯
「・・・んっ・・・んんっ！！」
今にも崩れ落ちそうな身体を支えていた腕が、耐え切れなくなって肘をつき、更に淫猥に腰を突き上げる格好になる
「・・・ほら、そうやってジュンが煽るから」
笑いを含んだ真柴の声
・・・・っそんなの、俺のせいじゃ・・・！
そう思った途端、俺の口を引き剥がした真柴が、身体を反転させて俺を組み敷いた
大きく太股を割リ開かれて、体内に居た真柴の指が感じる場所を引っ掻くように、去っていく
「は・・・っ、あ・・・・」
一瞬感じた気持ち良さが、あっという間に喪失して・・・感じる虚無感
さっきまで真柴の指を受け入れていた場所が、何かを求めるように蠕動しているのが分かる
「・・・・ジュン、力抜いて」
そんな言葉と供に、喪失感で蠢くその場所に、俺の唾液と真柴の体液で濡れた熱い塊が、押し入ってくる
「やっ・・・あっ・・・！？」
その圧迫感に上げた声を、真柴の唇が奪って、代わりの言葉を注ぎ込む
「大丈夫・・・ジュン、怖くないから」
徐々に深くなるキスで思考能力を奪いながら、真柴が奪った以上のモノを俺に与え、身体の一番深い場所から支配していく
「あ・・・っ！・・・や、あ・・・ああ・・・っ！！」
まるで身体の中から喰われて行ってるみたいな感覚
それと同時に
焼け付く様な熱さが、その喰われた痕を埋め尽くして、満たしていく
「・・・つらい？」
問う真柴の声に
その優しい響きに
俺は必死に頭を振って否定する
確かに想像を絶する圧迫感と熱さと痛み・・・は、つらい
だけど、それ以上に、
真柴をもっと感じたくて
身体中、余す所なく真柴で満たされたくて
真柴と体温を分け合いたくて
それを訴えたくて、ただ、その首筋にすがり付く
「ジュンの良い場所、あったら、言って？」
奥へ奥へと抜き差ししながら進む真柴が、俺の反応を確めながらそんな事を言う
どこが良いのかなんて分からなくて
でも、快楽を追うことに従順になるように躾けられた身体は、真柴の命令に忠実に、簡単に小さな悲鳴を上げる
「・・・んっ！」
俺のその小さな反応を見逃さず、真柴がその場所を擦り上げる
「ここ・・・？」
「んっ・・・、あ、まし・・・ばっ、そ・・・こっ」
喘ぐように訴えたら、同じ場所を激しく擦り上げられて、その気持ち良さに身体の奥底から、ゾクゾクとした何かが駆け上ってくる
「良いよ、ジュン、凄く・・・締まる」
吐息のような甘い真柴の声と供に、中に居る真柴がドクッと脈打って更にきつく内壁を圧迫する
「はっ、や・・・、そ・・んな、もぅ・・・っ！」
「まだだよ、ジュン、もっと良い場所、言って・・・？」
真柴の指先が、俺のブルーグレーの髪に差し入れられ、まるで小さな子供をあやすかのように、何度も、何度も、手ぐしですく用に撫で付ける
いつもの真柴のクセ
でもそれは、俺の一番好きな真柴のクセで・・・一番嫌いなはずの髪が、真柴の前でだけ、好きになれる
気持ちが柔らかくなってうっとりしている間にも、真柴はゆっくりと腰を進めて俺の身体を揺さぶるから、撫で付けられた髪が乱れて何度もシーツを打つ
「あっ・・・や、そこ・・・っや・・・っあ・・・っ」
揺すられる度に良い場所が増えて・・・全身があちこちでビクビクと跳ねる
「あっ・・・ま、しば・・っも・・・や、いく・・・いっちゃ・・・っんっ」
勝手に腰が揺らいで、真柴の動きに合わせていく
抜き差しする真柴が、俺の中から引くたびに
それをさせまいとするかのように、身体の内側が真柴を締め付けるのが感じられる
「・・・く！ジュン、俺も・・・っ」
低く、呻くように言った真柴が、押さえ込んでいたものを一気に解放するように荒々しく動き始める
何度も
なんども
えぐり
貫き
揺さぶられる
ズン、と身体の最奥を容赦なく突き上げられて、息を詰め、その快楽の激しさに、目の前が真っ白になる
「・・・ひっ・・・やぁ、もっ・・・あああっ！」
叫ぶと同時に耐え切れなくて、白濁を散らしていた
同時に、俺の内側の粘膜が真柴を逃がすまいとするかのようにギュ・・・と引き絞る
途端に、俺の中の真柴がドクッと大きく脈打った
「く・・・ぅっ」
脱力した真柴の身体が、俺の上に落ちてくる
俺の身体の中が、ドクドク・・と温かな真柴の、ねっとりとした体液で満たされていく
何もなくて、空っぽだった俺の内側が、全部真柴でいっぱいになる
それは、今まで一度も感じた事のなかった安堵感と充足感を与えてくれた
きっと真柴に出会わなければ、知ることのなかったモノ
知らなければ欲しいとも思わなかったモノ
知ってしまったら最後、もう二度と手放せなくなるモノ
嬉しくて
どうしようもなく、嬉しくて、幸せで
あまりにも満たされすぎて・・・恐くなる
もしも
もしも、真柴に捨てられたら
もしも、真柴が居なくなったら
俺は・・・・？
主を失った飼い犬の、先
考える事を、本能が拒絶する
合わさった胸から感じる真柴の体温
俺と同じ速度で脈打つ真柴の鼓動
その時初めて
自分が生きていることを
自分以外の誰かが生きていることを
嬉しいと、思った