古書・「魂蔵屋」(まくらや)の日常
『てるてる坊主』 (前編)
あた〜らし〜い、朝が来た〜・・・♪
耳慣れた夏の朝の風物詩的音楽が爽やかに響き渡る、雲ひとつなく見事なまでに晴れ渡った・・・正に真夏の朝
な、はずが
「だぁ〜〜〜〜・・・今日はもう止めようぜ〜〜草太ぁ〜〜〜・・・」
なんとも情けない、覇気のない声が、公園の木陰に座り込んでうなだれている近所の小学生達から上がる
その声に、そんな小学生達の眼前で仁王立ちしていた、ラジオ体操監視役高校生・火野草太が、腰に手を当てて言い募った
「なに言ってんだ!ただでさえだらけ切った夏休みしてんだろ!?朝のラジオ体操ぐらいシャキッとやれ!シャキッと!!」
「・・・・だぁってさー、もう何日こんなカンカン照りが続いてると思ってんの?世の中は地球温暖化で、渇水で、水不足で、熱中症患者続出中〜なんだろー?」
暇過ぎて、テレビのワイドショー三昧なのだろう・・・小学生らしからぬ受け売りそのままの単語を並べ立ててくる
「・・・・意味分かって言ってんのかよ?ったく!近頃のガキは口ばっか達者になりやがって!」
そう悪態はついてみたものの・・・草太自身もここ最近のこの異常な暑さには辟易していた所だ
実際
公園に設置されていた水飲み場は、既に断水状態
昨日からは各家でも、夜間時間断水が始まっていた
このまま行けば、確実に昼間まで時間断水が始まるだろうことは必死だ
おまけに
朝もまだ早い時間だというのに、既に気温は30度に近く不快指数はどう考えても80パーセント以上
これでは何もしていなくても、汗となって身体から水分が失われていくのを防ぎようもなく
ただでさえ貧弱な体つきの現代っ子集団である・・・全員既に汗だくで、屍累々・・・となるのも時間の問題だ
「・・・・っしゃーねーな。じゃ、時間断水が解除されるまでラジオ体操も休みにしてやるよ」
「やり〜〜〜!」
一斉に目を輝かせて歓声を上げる面々に、草太がく苦笑を浮かべつつも、雲の影ひとつ見ることの出来ない青い青い空を、眉間にシワを寄せて見上げていた
「・・・・た〜だ〜いま〜〜・・・・」
慣れた足捌きで引っかかりのある引き戸を引き開けた草太が、古書・「魂蔵屋」と書かれた黒光りする看板の下をくぐる
入った途端に感じる、肌寒ささえ感じるひんやりとした空気
クーラーなど無いにもかかわらず、なぜかこの「魂蔵屋」の店の中は引き戸一枚を隔てて、外とは温度がまるで違っている
だが、訪れる客はその温度差をクーラーの恩恵だと疑わず、誰一人としてその不可思議さを指摘する者は居ない
けれど、確かに、この店にはクーラーなどないのだ
店内は天上いっぱいに本が積上げられていていつも薄暗く、昼間でも照明が欠かせないほどではある
それだけで・・・?という疑問を草太が抱かないわけではない
ただもう、そんな不可思議な現象が日常茶飯事で・・・そんな事考えたって無駄なだけ・・・という事を学習済みなので、「ああ、涼しい〜〜!」と素直にその事実を受け入れるしかないのである
この、「魂蔵屋」では。
「あれ?今日はずい分と早いお帰りじゃないですか?草太君?」
その不可思議さを引き起こしている張本人と言って過言でない人物、「魂蔵屋」店主・雨月 虹(うつき こう)・・・・の声を発するバカでかい人間サイズのカエルが、店の奥にあるレジ台の所に、居た
一瞬、聞き間違い、見間違い・・・かと目を瞬いた草太だったが、その声は確かに虹の声で、かつ、どう見てもカエル・・・の居る場所から聞こえてきた
(・・・・どー見ても、見間違い・・・じゃねぇな、こりゃ・・・)
いい加減慣れてきたとはいえ、草太がガックリと肩を落とす
「・・・・・虹・・さん?」
まさかね・・・と思いつつも、草太がとりあえず、その、いつも年齢不詳な従兄妹が座っている椅子に座り、自分を見上げている・・・どう見てもカエルにしか見えないカエルに、問いかける
「ラジオ体操はもう終わったんですか?」
目の前で、そのカエルの口から虹の声が流れ出た
「っ!!ま・・さか、虹さん!?カエルになっちゃったの!?嘘!だってさっき見送ってくれた時には確かに人間だったのに!」
そう、草太が叫んだ途端
「バカかお前はっ!」
聞き覚えのある不機嫌絶好調な声音と共に、草太の頭上に容赦の無い拳骨が一発、炸裂する
「痛っ!!って・・・え!?み、三峰(みつみね)!?」
振り返った草太の真後ろに、いつの間に現れたのか・・・180はゆうに超す長身に、逞しい体躯、黒々とした短髪に鋭く切れ上がった灰色の瞳
三峰・・と虹が呼ぶ男が、そこに居た
この男がこうやって、突然何の前触れも無くこの「魂蔵屋」に現れる時は、必ずと言っていいほど何か問題か、厄介な事が起こる
・・・というよりも、起こったから、そこに三峰が居る・・・のだが
「えっ!?じゃ、やっぱ、虹さんがカエルになっちゃったの!?だから三峰がここに居るの!?」
「・・・お前、もう一発喰らいたいか?」
冗談でもない雰囲気を、灰色の瞳に滲ませて・・・三峰が今度はもう片方の拳を振り上げる
途端
『・・・チリーーン・・・ッ』
涼やかで軽やかな、鈴の音が店内にこだました
「・・・え?鈴?」
反射的に見上げた草太の目に、振り上げた三峰の手から覗く金色の可愛らしい鈴が写りこむ
「いい音色です・・・さすがに早いですね、三峰」
と、カエルが言うのと同時に、ギシ・・・ッと軋んだ音が下のほうから聞こえ、その声の当人、虹が地下書庫へと伸びる階段から一冊の本を携えて、奥の床から顔を出した
「えっ!?虹さん!?え?ええ?じゃ、この、カエルは!?」
「カエルはカエルだろーが」
不機嫌な声音そのままに言い募る三峰に、草太が頭をガードしつつ言う
「いや、そーだけど、普通カエルは喋んないし!確かに、サイズだけは普通じゃないけど・・・」
「何度言ったら分かる?ここに居るもんや来るもんに、普通なんていう形容詞が付くわけ無いだろーが」
「・・・・・あー・・・ごもっとも・・・・」
至極まっとう、反論の余地無し
草太が、それならこのカエルは一体・・・?
という目つきでカエルを見つめる
そのカエルの横に立った虹が、ニッコリといつもの笑みを浮かべてカエルの頭をご苦労様・・とでも言うように、なでなで・・と撫で付けた
するとたちまちカエルのサイズが縮み始め、あっという間に通常のカエルサイズになって机の上にピョンッと飛び乗った
「う・・うわー、なになに?これ?虹さんマジックでも始めたの!?」
今にも拍手を送りそうな雰囲気の草太に、やっぱり三峰のもう一発の拳骨が炸裂する
「痛っ!!」
「お前のこの脳みそは空っぽか?ああ?カエルも虹も・・・」
言いかけた三峰を遮って、虹が草太に問いかけた
「まあまあ、それはおいといて。草太君、学校の裏手にある雲南池(うんなんいけ)って知ってます?」
その問いに、今にも三峰に食って掛かろうとしていた草太が振り返る
「え!?あ、うん。昔からある大きな池でしょ?知ってるよ。でも今は・・・」
「ええ、そう、この晴天続きですっかり水位が減ってしまって・・・それでこのカエルさんがお使いに来たというわけなんです」
「・・・・へ?お使い・・・?」
パチクリと大きな瞳を瞬いた草太に、カエルが何事か訴えかけるように「ケロケロケロ・・・」と喉を震わせた
その訴えの意味を代弁するように、虹が言う
「池の主がこのままでは死んでしまうんだそうです。だから雨が降らない原因を探って、雨を降らせて欲しい・・・と弱ってしまった池の主に代わって、はるばるここまでお使いに」
「ここまで・・・って、まさか・・・あのでっかいサイズでここまで歩いてきたの!?」
「ええ。あ、でも他の人はちゃんと人間に見えてたはずですから。それにサイズを大きくしていないと、これを持ってこれなかったそうなので」
そう言って虹が、床の上に置かれていたらしき、ひょうたんで作られた容器を掲げ揚げた
一升瓶くらいはありそうなその大きさでは、確かに人間サイズにならなければ持ち運べそうになかった
「それ・・・なんなの?」
「ん?お酒です。しかも滅多に手に入らない最上級のね。雲南池の主の酒好きは有名ですから」
「・・・・っていうか、何でそんな事を虹さんが知ってんの?それにさっきまでカエルの声、虹さんだったし」
「主さんとは飲み友達ですし、声は貸してあげてたんです。まだこのカエルさんは人の言葉が喋れないので」
「・・・はは・・・そ、そうなんだ」
思わず草太の顔に苦笑いが浮かぶ
ニコニコ・・と、銀縁メガネの奥でいつも細められて笑っている瞳で見つめられて、事も無げにそう言われてしまうと・・・もうそれ以上、草太は突っ込んで聞くことが出来ない
(・・・・っつーか、その主・・っていうのも当然人間じゃねーんだろうな、やっぱ。ほんとに虹さんて・・・)
チラ・・ッと虹を盗み見ると、相変わらず不機嫌絶好調なままの三峰から鈴を受け取り「そんなに露骨な顔しなくても・・・」と、クスクス笑っている
その虹の笑みに、三峰の顔がフワッと和らぎ虹の耳元に顔を寄せ、何事か囁いたかと思うと・・・不意に虹の首筋が薄っすらとピンク色に染まった
途端
『ガツ・・・ッ!』と虹が顔は笑ったまま、三峰の腹部にひょうたん酒器をのめりこませた
「っ!!!!」
声もなくうずくまった三峰には目もくれず、虹のその笑った視線が草太に注がれる
(・・・こ、こえーーーーっ!!三峰なんかより、虹さんの方が絶対強いよな、間違いなく・・・!)
「ところで草太君?」
「は・・・はいっ!」
何気に上ずった声になった草太の心情など知らぬげに、虹がニッコリと笑いかける
「これ以上雨が降らなくて、水不足が深刻化するのは困りますよね?」
「え?う、うん。それはもちろん」
「実はね、雨が降らないのには理由があるんです。これ、見てください」
そう言って、虹が机の上の地下書庫から持ってきた薄っぺらい本を草太に差し出した
受け取った草太が、ページを開くと・・・
「・・・・え?何・・この本?下半分がキレイに切り取られてるじゃん!誰がこんなイタズラ・・・!?」
「そこに書かれている物が何なのか、分かりますか?草太君?」
「え・・・、これ・・・歌?・・・てるてる坊主、てる坊主・・・って!これ、てるてる坊主の歌じゃん!」
「知ってましたか。歌えます?」
「そりゃ、てるてる坊主〜てる坊主〜あーした天気にしておくれ〜♪でしょ?」
「その続きは?」
「へっ!?続き?この歌に続きなんてあるの!?」
「もちろん。しかもちゃんと3番まで」
「えっ!?」
マジマジとその本を見返した草太だったが、草太が歌った歌詞の所でページは切り取られていて、その歌の続きを知ることはできなかった
「この歌の本当の続きを知っている人、一体何人くらい居るんでしょうね・・・」
ふと、虹が呟く
「え・・・?本当の続き・・・?」
「いえ、なんでもありません。で、これを切り取ったと思われる人物に心当たりがあるんです」
「まじで?!誰それ!?」
「・・・この本の正統な持ち主です」
「・・・・はぃ?」
「やられましたね・・・僕が手出し出来ないと分かってて置いていくなんて」
一瞬だが、虹の表情に不穏な気配が浮かぶ
「だから言っただろーが!あの女に関わるとロクな事にならねーって!だいたい、何でこの俺があんな奴のために鈴の調達なんてしなきゃならねぇんだよ」
虹に撃たれた腹をさすりながらようやく立ち上がった三峰が、不機嫌な原因を露わにして言い募る
「気が付かなかったこちらの負けです。とにかくこれは返しに行かないと・・・レンタル料だとかなんとか言って、後でどんな難癖付けられるか知れたもんじゃありません」
「勝手に置いていったものを、何でわざわざこっちが返しに行かなきゃならないんだ!?」
「・・・そんな一般常識が通用する相手だとでも思っているんですか?三峰?」
「それが分かってんなら、なんで飲み比べなんかしたんだ?しかもお前が勝ったりするから、こんな仕返し受けてんだろ!」
その言葉に、珍しく虹の表情から、一瞬だったが笑みが消える
「・・・・・三峰には関係ないことです」
「・・・っ?おい・・・何だ?今の間は!?」
なにやら全然違う方向に向かいつつある会話に、草太が堪らず口を挟む
「ちょっと、三峰!ややこしくなるから黙っててよ!で、この本と雨が降らないのと・・・どう関係があるわけ?」
言い放った草太の肩を、虹が渡りに船・・とばかりにガシッとばかりに掴みあげる
「知りたい?もちろん知りたいよね!良かった!じゃ、これ返してきてくれるよね?行かなきゃ理由は分からないんだから。で、この鈴とお酒も忘れずに・・・!」
草太に返事を返す間も与えずに、一気に言い募った虹が、草太の両手に鈴とひょうたん容器に入った酒、本を押し付けるとクルリと草太の身体を反転させ、ポンッとその背中を押す
「え?ええ?ちょ・・・ちょっと虹さん!?な、何で俺が・・・?!」
そのままグイグイ・・と引き戸のある出入り口まで押しやられながら、草太が抗議の声を上げる
「だって、このままにしといたら本当に雨は降らないんですよ?そうなったら困るでしょ?ここは一つ、水不足で困ってる地域住民の皆様と、雲南池の主を救うためにも・・・ね?草太君!」
「や、だから!何で俺なの!?」
引き戸の手前で踏ん張って止まった草太が、最後の足掻き・・・とばかりに虹を振り返る
「嫌だな。こんなあからさまな嫌がらせに、僕に屈しろとでも?そんな事したらしばらく掃除も洗濯も料理も仕事も、何にもする気がなくなっちゃいますよ?それでもいいんですか?」
「げっ・・・・・・そ、それは・・・・!っていうか!そんなの引き合いに出すなんて、虹さんの卑怯者〜〜!」
「なんとでも。と、いうわけで、お使い交渉成立ですね!いってらっしゃい!」
ポンッとばかりに引き戸の外側に押し出された草太が、慌てて言い募る
「こ、虹さん、お使いたって、場所がどこか分かんないじゃん!!」
「あ、それは大丈夫。そこはね、本当に行く必要がある人しか行けない場所だから。草太君がその本を持ってれば、必ずそこに行き着くから」
「そんないい加減な・・・!」
「大丈夫だってば!適当に歩いてればすぐに分かるから!じゃ、頑張って!」
ニッコリと笑った虹が、それだけ言うとピシャンッと引き戸を閉めてしまった
その無情に閉められた戸を茫然と見つめた草太だったが、やがてその照りつける陽射しの暑さに、堪らず天を仰いだ
「・・・・・行くっきゃないか。とりあえず、本気で雨は降ってもらわないと困るし。虹さんに家事全般放棄されても堪んないし。・・・・しっかし、ほんとに適当に歩いててわかんのかよ〜〜・・・」
ブツブツ・・・とぼやきながらも、草太が歩き出した
「・・・・気にいらねぇ」
閉めた引き戸の内側で、三峰が虹を睨みつけている
「何がです?」
「・・・虹、お前・・・俺に何を隠してる?」
「隠す?嫌ですね、何も隠してなんて・・・」
「ほぉ〜〜〜?じゃ、聞くが、あの女と飲み比べした時、何を賭けた?」
「さて・・・なんでしたっけね?あの時は酔ってましたからね、記憶が飛んじゃってて」
ニコニコと笑顔を崩さず、虹が答えを返す
「・・・・・つまり、言う気はないと、そういうことか」
「嫌だな、だから覚えてないって・・・」
「覚えてなくても、俺に『関係ない』ってか?」
「・・・・言いましたっけ?そんな事」
あくまでシラを切り続ける虹に、フ・・・っと三峰が不敵な笑みを注ぐ
「しょーがねーな。じゃ、会いたくはないがあの女に聞くしかねぇって事だな?」
「残念でした。三峰はそこへ行けませんよ。本は草太君が持って行っちゃっいましたからね」
勝ち誇ったように言う虹の眼前に、三峰がス・・ッと握った手を突きつけた
「残念でした。俺にはこれがあるんでね」
ゆっくりと開かれた三峰の手の中には、草太に渡した物と全く同じ、金色の鈴が一つ
「っ!?それ・・・」
「『対の鈴』。これ持ってれば草太が俺をあの女の所へ連れてってくれるって寸法だ」
「ば・・・、やめろっ、みつみ・・・」
『・・・チリーーン・・・ッ』
鈴の音と共に、虹が伸ばした手が空を掻き、三峰の姿が掻き消えた
「・・・・うそ」
呟いた虹が、ガタンッと引き戸を開け放つ
眩しく目を射る陽射し以外、そこに何の気配も感じ取れない
常に、どこにいても感じ取れるはずの、三峰の気配も
「・・・だから、手出しできないって言ってるのに!あー、もう!何のために草太君に無理やり押し付けたと・・・!」
思わずヘタリ込んだ虹の手の上に、ピョンとばかりにお使いカエルが飛び乗った
「ケロケロケ、ケロケ〜ロ」
「え?草太君ならちゃんと雨を降らせてくれるから、大丈夫・・・って?」
カエル語を律儀に翻訳した虹が、ハァ〜〜・・・とばかりに大きなため息を落とす
「・・・そんな事は分かってるんだよ。問題は、あの人の所に三峰が行っちゃったって事の方なんだ・・・カエルくん」
「ケロケ?」
「どうして?・・って?」
ジィ・・・・ッとカエルを見つめていた虹の顔が、だんだんと朱に染まっていく
「・・・・あの人が三峰を前にして、言わないわけない・・・絶対言う・・・言うに決まってる!あの時の賭けの内容!あああああ!目に浮かぶよ!嬉々として楽しそーに話すあの人の顔が・・・!」
とうとう真っ赤になった虹が、ガ・・・ッとばかりにカエルを両手で捕まえる
「ゲロッ!?」
「雨が降ったら池まで送って行ってあげるから、主さんの所にしばらくかくまってくれるよう、頼んでくれない?ね?ね?ね!?」
苦しげに仰け反ったカエルが、コクコクコク・・・ッと、何度も頷き返す
「良かった・・・!とてもじゃないけど、顔なんて会わせられないからね・・・」
ホッと安堵の色を浮かべた虹が、捕まえていたカエルを肩に移して引き戸の中へと戻って行った