お題に挑戦。

<設定人物>
自サイト内オリキャラで2次創作。

<ハサン王子>
中近東でも並ぶ者のない大金持ちの王族の第一王位継承者
漆黒の髪と漆黒の瞳、褐色の肌の持ち主。
ミステリアスで妖艶な美形系。俺様気質。


<浅倉 流>
超メジャー級マジシャン北斗の息子・浅倉4兄弟の3番目。
紅い髪、紅い瞳の持ち主。
サッカーが得意なスポーツ万能タイプ。
精悍でちょっと強面な男前。ハサンの前では天邪鬼。


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<お題・1>

01:砂舞う世界


「あ・・・れ・・・?」


ふと目を覚ました流が、パチパチと瞬きつつ目を開けた
地面についた手に感じる、妙な違和感


「え・・?砂?」


その感触に驚いて手を掲げてみると、サラサラ・・・と指の間から金色の砂が零れ落ちていく


その砂が零れ落ちる・・自分の指

その指を見た流が、え!?とばかりに目をむいた


「っ!?何だ?この手!?っつか、身体全体が縮んでんじゃん!!」


そう、今現在16歳であるはずの流の身体が、どういうわけか10歳くらいの体型に縮んでいたのだ

しかも着ている服装が、どう見ても中近東あたりのモノ。

なにやらもの凄く嫌な予感を感じた流の背後から、その予感が間違っていなかった事を裏付ける声が掛けられた


「どうした?流?」


どう間違っても、聞き間違いようのない、その声音!


「っ、ハサン!?」


振り向いた流の目の前に、やはり同じように10歳くらいの体型のハサンがいて
相変わらずの俺様気質そのままに、腰に手を当てて流を見下ろしていた


「どうした?じゃねぇ!こりゃなんだ!?何で身体が縮んでんだ!?っつーか、その前に何でお前がここに居んだよ!?」

「お前もやはりそう思うか?」

「は・・!?そう・・思うか?・・って?」


思いがけないハサンの答えに、流が気勢をそがれてハサンを見つめた


「・・・さっき、宮殿の中の宝物庫で古いツボを見つけてな。誤って割ったら、中から魔人が現れてツボから出してくれた礼に願いを一つ、叶えてやると言われたんだ」


その言葉に、流が最悪の展開予想に冷たい汗を感じつつ、問いかけた


「・・・なに、言ったんだよ?てめぇ・・!」

「・・・誰にも邪魔されず、何のしがらみもない所で流に会いたい・・・と言った」

「はいぃ・・ぃ!?」


プチ・・ッと流のコメカミに怒りの青筋が浮かび上がり、心の中で怒声を上げた



・・・この俺様王子が!この状況でシレっと言ってる場合か!



「てめぇ!なんて事言うんだよ!おかげでこんな砂漠のど真ん中じゃねぇかよ!しかも身体はちっせぇし!」


流が堪らず立ち上がって言い募りつつ、ハサンの背後に広がる荒涼たる砂漠を指差す


「・・・言われなくても分かってる」


それがどうした?と言わんばかりのハサンの態度に、流のコメカミに二本目の青筋がプチッと浮かぶ


「わ、分かってるって、お前な・・・!」

「それ以上叫ぶな。干上がるぞ」


ハサンの冷静な態度に、ウ・・ッと、流が押し黙る

頭上からは容赦なく照り付ける太陽
足元には渇ききって舞い上がる金色の砂

見渡す限り・・すな、スナ、砂・・・


「そうだ、それで良い。とりあえず行くぞ」


クルッときびすを返して歩き始めたハサンの肩に、思わず流が手をかけた


「ちょ、待て!行くって?どこへ!?」


首だけ傾げて振り返ったハサンが、フ・・と微かに笑み返す
その笑みに、不覚にも流の心臓が、一瞬、トクンと跳ね上がった


「心配するな。俺が流を守ってやる」

「っ!」


その言葉に、カァ・・ッと流の耳が真っ赤に変わる
どうやら、身体が幼くなったと同時に、感情も幼い頃に逆戻りしているらしい


「・・・っば、なに言って・・・!」


悪態をつき返そうとした流の行動を見透かしていた様に、ハサンが肩に置かれていた流に手を握ったかと思うと、そのまま先へと歩き出す


「おい、ちょ・・・っ」

「砂漠は俺の庭だ。黙って付いて来い」


そう言い放って、ハサンが流の手をギュ・・ッと握り返してくる



・・・・っの!コイツはほんとに、昔から俺様王子で・・!



心の中で悪態をつき、その手を振り解こうとして・・・それができない事を思い知る


ここには
ハサンと自分以外、誰も居ない


ハサンと初めて出会ったのが、この縮んだ身体の10歳頃

あの時は、ハサンの回りには召使や付き人が大勢居て
あからさまに王子と流の身分の差、というものを突きつけてきた

でも今は

ハサンを王子と呼ぶものは誰も居ない

二人の間にあったしがらみが、何もない



・・・・っかやろう、なんて願い事してくれんだよ・・!



ハサンと繋がれた手を見つめながら、知らず流のその手に力が込められていた



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お題1